ウトロにて

中央林間は18歳のときに初めての一人暮らしの街。アパートは共同便所、共同風呂で四畳半にタイルのキッチンは半畳ほどだったか。家賃は1万2、3千円だったと思う。
駅前に「ウトロ」という喫茶店があった。貧乏学生で常連になるほど足を運べたわけではないけど、行くとしたらココ、というお店だった。
30年近い、20数年ぶりにたずねてみた。
マスターの顔、「10キロぐらい太りました」ということだったが、昔と同じ柔和な表情があった。

自分でも不思議に思った。コーヒーの味が懐かしかった。昔と変わっていないと感じた。モカがベースで少し濃い目のコーヒーらしいコーヒー。
「メーカーは変わりましたけど、中身は変わっていないですよ。モカと…」。
我ながらよく覚えているものだ。
2つ年下の女子高生がバイトをしていた。その娘とは鎌倉に行ったことがある。アジサイ寺、サンドイッチのお店。雨が降っていた。
「学校、さぼるから、どこかに行きませんか」というような誘われ方だった。
「マスター、昔ね、○○みちゃんという素敵な笑顔の子がバイトをしていたでしょ」とふってみた。
「はい。実は昨日、お店に来たんですよ」。
ニアミスだったんだ。
彼女の今の幸せな様子を聞くこともできた。
コーヒーブルース
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