土曜日の夕方

ゲッターズK

 岡部誠からのケータイが鳴った。
 新潟、スギノブライアンに騎乗して思うような結果を出せずで。
 時間からして競馬場から解放されてすぐのこと。

 「今日の乗り方どうだった?早かった?」。
 俺はありのままを話す。
 「結果論かもしれないけど、早いことは早かった。ベストの騎乗ではなかったと思うよ」。
 「外から来るからね。アレを行かせた方がよかったかなあ」。
 「うん、そう思うな。行かして外に切り返して3、4番手という形でOKじゃなかったかな」。
 
 テンから仕掛けていって、2ハロン目のところが10秒9。

 「でもね。ダメ出しされるような乗り方ではなかったと思うよ」。

 レース前、拾いにいく競馬じゃなくて、勝ちに行く積極策を、というのがスギノブライアン陣営の意向。俺自身もそうあるべきだ、という思いがあって、前日の名古屋競馬場でマコトにはっぱをかけてきた。

 もう一点ある。
 “幼さ”をスギノブライアンについていつもいつも指摘してきているが、それでもだんだんと前向きさが出てきている。昔ほどはふわふわしなくなってきている。マコト自身もそれは、「レースを見ていて、そういった感じをもっていたんだけど…」としているのだが、レース、あるいはそれ以外でも昔に乗った時の感触を体が記憶している。

 諸々、含めて気合いを込めて動かしていった様は納得、理解しやすいものだろう。

 あれやこれや話しつつ、最後に俺がマコトに言ったのは、「相変わらず聞いてくる姿勢というのが偉いと思うよ」ということ。
 「だってね。自分じゃ気がつかないこともあるかもしれないから、ちゃんと見てくれている人に聞きたいと思うよ」。

 昔から、坊の頃から、この姿勢が変わらない。

 岡部誠以外にもう一人いる。
 吉田稔が今のマコトぐらいの年齢の頃は大きなレースや納得がいかないレースのあと、「どう思った?」としょっちゅう、聞いてきたものだった。


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