雪の笠松

雪、雪、雪の笠松競馬場。
「乗りたくないよ」は乗り役の本音。
実際に危ないだろうなあ、と思う。
降りが激しくなってきた頃のレース。2番手につけていた騎手が、「いやあ参った。前が全然、見えないよ」。
暗闇の中、ヘッドライトを落として運転しろって言われた、即座に「いやだ」と答えるだろう。
メイン、大丈夫か?と思っていたのだけれど、主催者も迷った末の判断かと思うが、レースは続けられた。
メインは幸いにも降りが甘くなったのだけれど…。
メインの東海ゴールドカップ、心情はキングスゾーン。
自分との戦い。これが常に課せらる大きな問題。実のところ、もっとも走りが悪いのは名古屋では?と思わせるレースぶり。遊びだすのが、気を抜きだすのが他の競馬場での戦いよりも早い段階にやってくる。自分の庭といえる競馬場。慣れ過ぎたがゆえにレースへの集中力を維持できない面があるのかもしれない。
今回の笠松への出張戦はそのあたりの含みがある。“慣れ”が過ぎていない競馬場でどんな走りを見せるか。
結果は勝って当然の相手に2着。早めに気を抜くようなことはなかったと思う。しかし、早めに先頭に立たされる形に。逃げ馬に4角あたりまでは踏ん張ってもらうのがキングスゾーンの戦いやすい形。一頭になると気を抜く。
“刺客”という立場で臨んだのがノゾミカイザー。鞍上には吉田稔。レース前からのプランどおりに後方で、その牙を研ぐ。キングスゾーンを知り尽くしている男。並ぶと勝負根性を発揮してくる相手。一気に交わしさるか、馬体を併せぬ形に持ち込むか。両方の術を正確に組み込んでくるレースぶり。直線の叩き合いは吉田稔が何馬幅か、外に出して行ってのもの。安部幸夫も敵がその手に出るのは織り込み済み。馬体を併せに行ったのだが…。時、すでに遅し。気力を振り絞るような走りにまではなりえなかった。
もう少し強い先行馬がいた方がキングスゾーンはレースがしやすいだろう、とか、雪が降ったままならノゾミカイザーが動けかどうか、とかはあるのだが、これも勝負のアヤ、時の運だろう。
後方にいながらレースの主導権を握っていたのは吉田稔のノゾミカイザーだった。
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